【サガスカ】一手先を読む面白さ!サガスカーレットグレイス緋色の野望の感想・レビュー

2018年8月2日に発売された「サガ スカーレットグレイス 緋色の野望」。PS4、Nintendo Switch、Steamのほか、スマホアプリも配信されており、幅広いプラットフォームでプレイできます。
本作は、2016年にPS Vitaで発売された「サガ スカーレットグレイス」に、キャラクターボイスや新規シナリオを追加したものとなります。

このゲーム、病みつきになる面白さがあると思います。実際、私はPS Vitaでオリジナル版を、PS4で緋色の野望をそれぞれ発売当初に遊んでいますが、最近になってまたやりたくなり、Steam版も購入しました。ただしこのゲーム、かなり人を選ぶと思います。

この記事では、サガ スカーレットグレイス 緋色の野望(以降、サガスカと表記)の面白さの要である戦闘システムを重点的に解説し、良かった点や気になった点を記載していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください。

サガスカのストーリー

緋色の星は裏切りの罪を追い
十二星神に天を追われる
その星の名はファイアブリンガー
かつて人に火を与えた邪神

その夜、邪神の星ファイアブリンガーは砕け散った。
舞い散る破片は、皇帝と帝国の勝利を称えていた。
新たな時代の始まり、平和と幸福の訪れを誰もが信じた。
だが、邪神という巨大な敵を失い、帝国の存在意義も消滅した。
反乱が広がり、皇帝も暗殺に倒れ、帝国はあっけなく瓦解する。

だが、時代は新たな主人公を生む。
自分が処刑したはずの男を追う処刑人。
お伽噺の中の都「アイ・ハヌム」を探す若者。
帝国復興を目指す貴族ユラニウス家の娘。
かつて力ある魔女だった陶芸家。

帝国滅亡後の混乱した時代の中、彼らは自らの力で運命を切り開くのか。
それとも、邪星ファイアブリンガーの遺志が彼らを導くのか。
「人よ、野望を抱け!」

サガスカ公式ホームページから引用

私なりに簡単にまとめると、「ファイアブリンガーという邪神がいたが、人類(帝国)が勝利し、やがてその帝国も崩壊した後の時代の世界。4人の主人公がそれぞれの思惑をもって旅を始める」といったところでしょうか。

それぞれの主人公には旅の目的がありますが、魔王を倒すとか、世界の平和を守るといった王道のものではありません。処刑したはずの罪人が各地に現れたとの噂の真偽を確かめにいく処刑人の男、自分の作品に生じる歪みの原因を探しにいく陶芸家など、よくあるRPG作品にはないものとなっています。それがかえって人間臭さを感じる部分で、個人的には好きな要素ですが。

なお、各地にいる吟遊詩人に話を聞くと時代背景などを語ってくれますので、世界観を知りたい場合は積極的に話しかけると良いです。

サガスカのシステム

サガスカはコマンド選択式RPGです。シンボルエンカウントやランダムエンカウントではなく、洞窟などのダンジョンに入ったり、イベント時に流れでそのまま戦闘となります。
ここでは本作の面白さの要である、バトルシステムを中心に解説します。

サガシリーズの定番、フリーシナリオシステム

本作ではウルピナ、レオナルド、タリア、バルマンテの4人の主人公が登場します。最初にプレイヤーはいくつかの質問に答えることになりますが、その選択の結果主人公が提示されます。また、回答の内容によって能力値に変動があり、同じ主人公を選択しても使い勝手が少し変化することも。提示された主人公を選択せず、自分の好きな主人公で始めることも可能です。この場合、能力値はデフォルトのものになります。

個人的には、初回は貴族の娘であるウルピナがおすすめです。初期パーティのバランスが良く、ストーリーも追いやすいためです。反対に、バルマンテは難易度の高い強制戦闘が序盤からあるので、システムへの理解が進んだ2周目以降に選択することをおすすめします。

また、本作はサガシリーズでおなじみのフリーシナリオシステムを採用しています。同じイベントでも主人公が異なれば対応が変わってくるし、同じ主人公だったとしても選択によって得られる結果が異なります。時には戦闘の勝敗結果によって展開が変わることもあり、プレイヤーの数だけ異なるゲーム体験が生まれていきます

なお、イベントは紙芝居のようなテキストベースで進んでいき、ムービーなどが挟まることはほとんどありません。また、街やダンジョンの探索要素はなく、フィールドを歩き回ると施設やダンジョンの入り口が表示されるだけとなります。

面白さの要、バトルシステム

本作のバトルシステムはコマンド選択式ではありますが、それだけに留まらない独特なものとなっています。このシステムに馴染めるかどうかで評価が大きく変わるゲームだと思います。
細かい要素はたくさんありますが、主なものを紹介しますね。

自分の戦略に合わせた陣形の設定

陣形を選択し、戦闘時のキャラクターの配置を決めます。
陣形を選択する際に重要なのはBP、ステータスボーナスの付与の2点です。
BPとは、戦闘時に行動を選択する際に必要なコストです。陣形によって初期BPとBP増加条件が異なります。初期BPについては、最初から多めのBPが付与されているが最大値が低いもの、反対に初期BPは低いが最大値が高いといった違いがあります。

BP増加条件については、毎ターンBPが増加するものや、特定の配置についているキャラがとどめを刺した時にBPが増加するものなどがあります。ステータスボーナスの付与とは、特定の位置についたものの狙われる確率を上げる、防御力を上げる、特定の武器種のBPを下げるといったものです。

自分が行いたい戦略に合う陣形を選択することが、戦闘を優位に進める上で必要となります。なお、陣形は新たなキャラクターを仲間にした際にそのキャラが保有するものを習得できます。仲間にするかどうか選択肢が表示された際には、積極的に仲間にしていきましょう。

敵に合わせた適切な装備を選択

装備を考えるうえで重要なポイントは2つあります。なるべく異なる武器種を使うことと、敵の攻撃属性を考えることです。
本作には多様な武器種があります。様々な属性技を使え盾も持てる片手剣、ミスのリスクはあるが威力が高く能力ダウン技を数多く使える両手斧、威力は低めだが敵の行動を妨害しやすく盾も持てる棍棒など、武器種ごとに得意とする役割が異なっています。そのため、全員が異なる武器種を装備していると、状況対応力が高くなり戦いやすくなります。

また、敵によって得意とする攻撃属性が異なります。本作の攻撃属性は、物理属性なら斬打突の3種、術属性なら熱冷電の3種です。戦闘前の準備画面では一度戦ったことがある敵であれば表示されるようになるので、使用してくる技に合わせた防具に変えることで生存率を上げることができます。初めて戦う敵だと対策が困難ですが、経験を重ねていくうちに適切な防具を選択することができるようになります。

行動順を制するものがバトルを制す!タイムラインバトル

戦闘画面では、敵味方の行動順が表示されています。カーソルを合わせれば、どの敵がどのような攻撃を仕掛けてくるかもわかります。これらの情報を参照しながら、適切な行動を選択していくことで勝利を目指します。

行動選択には、陣形の項目で説明したBPをコストとして使用します。強力な行動ほど高いBPが設定されています。パーティで共有しているコストのため、一人のキャラに強力な技を撃たせるのか。複数人に細かい技を撃たせた方がよいのかといった選択を毎ターン行っていくこととなります。また、大剣など一部の武器は行動しなければ一定確率で武器ガードが発動し、ダメージを軽減します。

技を発動した後や、敵の行動に合わせて技を閃くことがあります。新たな技を閃いていくことで、状況対応力は上がっていきます。武器ごとに閃ける技は決まっているので、様々な技を閃きたい場合には攻撃力だけで選ぶのではなく、武器を変えていく必要があります。

敵を倒したり、味方が倒されることによってキャラクターのカーソルが消滅することになりますが、その際に味方同士や敵同士が連結すると、「連撃」という追撃が発生します。連撃は追加でダメージを与えるだけでなく、次ターン行動時のBPコストを下げられる強力な効果を持っているので、いかに味方の連撃を発生させつつ、敵の連撃を防ぐかという視点も重要となります。

この連撃システムを上手に活用するために、技の選択が重要となってきます。技には行動順を早めたり、逆に遅くするものがあります。このほか、行動順を遅くする「バンプ」、反撃しつつ攻撃してきた相手の前にキャラカーソルを移動させる「カウンター」、同じく相手の前にキャラカーソルを移動させつつ、攻撃発動前に自身の行動を割り込ませる「インタラプト」といった、リザーブ技と呼ばれるものがあります。

誰にどのような行動をさせるのか、常に考えながら戦っていく必要があるのです。

サガスカの良かった点

本作の良い点は、じっくり考える戦闘にあると思っています。

緊張感のある戦闘

システム解説でお示ししてきたとおり、本作の戦闘はじっくり考えながら一手一手進めていくものです。ボス戦だけでなく、通常のザコ敵との戦闘でも漫然と進めていると思わぬ苦戦をしたり、敗北することもあります。BPコスト、行動順、敵の攻撃属性、リザーブ技の有無など、戦況を見極めながら最善の行動を選択していくことで勝てるようになります。

このおかげで、使わなくなる技が無いというのも良い点だと思っています。強い技を閃いたら後はそれを連打するだけ、とはならず、威力は低いが行動順を変える技、敵に状態異常を付与する技など、技の特性を把握しながら適切に使っていく楽しさがあります。

探索要素のカット

本作ではダンジョンや街中を隅々まで歩き回って宝箱探しをすることもありません。イベントはテキストベースで進みますので、戦闘に集中することができます。
反対に、世界を隅々まで回って世界観に浸りたいとか、隠された宝箱を見つけたりすることが楽しいという方には、向かない部分だと思います。

サガスカの気になった点

冒頭で人を選ぶゲームと述べた通り、本作は万人受けしないものと思っています。

ゲームシステムがやや分かりづらい

これまで書いてきたとおり、本作のバトルは奥深いものです。一方で、それぞれの内容についてチュートリアルがあるわけではなく、追加されていくTIPSを丁寧に読んでいけば分かるようになっています。これを面倒に感じてしまう方だと仕様がよくわからず、辛いゲーム体験になってしまうかもしれません。
知識があるかないかで難易度が大きく変わるゲームですので、抵抗がない方は最初から攻略サイトに頼るのも個人的にはアリだと思っています。

多くのキャラクターを活かしづらい

本作では多くの仲間キャラが存在しますが、戦闘パーティにいないと成長しません。とはいえ、入れ替えを頻繁に行い成長させようとすると、なかなかキャラが育たず苦戦するようになります。また、後半に仲間になるキャラクターは意識して育成しないと、技も覚えておらず武器を扱うためのスキルレベルも低いことから、いるだけのキャラクターになります。
実際私も毎回メインパーティ5人+入れ替え要員3人くらいの育成となっていました。

まとめ

ここまで書いてきたことをまとめます。

  • イベントはテキストベースで、ストーリーをじっくり追うものではない
  • ダンジョンや街中の探索もない
  • その分戦闘の面白さに特化している

なんだか色々面倒そうだな…と思った方には合わないかもしれません。
事前準備を行ったうえで相手の行動に応じて適切な対応をとって詰めていくカードゲームのような要素に、閃きや連撃といったイレギュラー要素が加わることで、展開が読み切れない面白さが味わえます。ぎりぎりのところで新技を閃いて勝てたりすると本当にテンションが上がります!

じっくり考えるゲームが好きな方には合うと思いますので、ぜひ楽しんでくださいね!